cha

日本茶にはどんな種類があるの?日本人なのに実は知らない日本茶のこと。

孤高の日本茶インストラクター、大西です。

今日はお茶の話です。

日本茶といえば、みなさんはどんなお茶をイメージしますか?
急須(きゅうす)で淹(い)れる、煎茶(せんちゃ)?
茶筅(ちゃせん)で点(た)てる、抹茶(まっちゃ)?
食後にさっぱり、ほうじ茶?こな茶?

これぜんぶ日本茶ですが、単にお茶と言ってもその種類は多く、どのように作られているかなど、あまり知られていなかったりします。
そこで今日は、お茶の種類についてご紹介したいと思います。

これであなたもお茶博士!

  煎茶についてはこちらをどうぞ → https://singucha.com/sencha-qa/

お茶の種類について

みなさんのイメージしているお茶ってどんなお茶がありますか?
その種類は意外と多く、知らない方もたくさんいます。
特に若い世代の方にとっては、なじみの無いお茶もあるかもしれませんし、
地域によってその定義に違いがあったりもします。

まずは図を見て、お茶の全体像を理解していきましょう。

図:茶の種類

図:筆者作 参考資料:日本茶のすべてがわかる本

具体的に見ていきます。

まず初めに、お茶は大きく4種類に分けられます。

・不発酵茶 (ふはっこうちゃ)
・半発酵茶 (はんはっこうちゃ)
・発酵茶  (はっこうちゃ)
・後発酵茶 (こうはっこうちゃ)

です。一般の人にはなじみのない呼び方ですね。

・不発酵茶 摘み採った葉をできるだけ早く加熱して、発酵を止めたお茶
・半発酵茶 酸化酵素を少し働かせながら熱を加えて、発酵を止めたお茶
・発酵茶  酸化酵素を最大限に働かせてから熱を加えて、発酵を止めたお茶
・後発酵茶 加熱して酵素の働きを止めた後に、微生物によって発酵させたお茶

※お茶の葉が持っている「酵素(こうそ)」を働かせることを、お茶業界では「発酵(はっこう)」と言います。よく聞く「発酵」の意味とは少し違います。お茶を製造するときには、この酵素の働きを止めるために熱を加えます。これを殺青(さっせい)と言います。
殺青することによって、お茶の成分を残すことができ、美味しいだけじゃなく栄養もたっぷりふくまれるお茶ができます。なお、後発酵茶の説明をする場合は、良く聞く「発酵」の意味で使われます。

摘み採ったお茶の葉をどの段階で殺青するかで、大きく分かれていきます。

不発酵茶

発酵(酸化)させないお茶です。いわゆる「緑茶」と呼ばれるお茶のこと。
みなさんが一般的にイメージしているお茶の大部分が、この種類に入ると思います。

不発酵茶は、摘み採ったお茶の葉をすぐに加熱して、酵素の働きを止めて作ります。
加熱する方法の違いによってさらに、蒸し製(日本式)と釜炒り製(中国式)に分かれます。

日本で作られる緑茶のほとんどが蒸し製で、摘み採った葉を蒸気で蒸してから製茶(せいちゃ)していく方法です。蒸し製の緑茶には、煎茶、玉露、碾茶(てんちゃ。抹茶の原料)、蒸し製玉緑茶(むしせいたまりょくちゃ)、番茶などがあります。

釜炒り製の場合は、蒸気で蒸す代わりに葉を釜で炒ります。釜炒り製のお茶は「釜炒り茶(かまいりちゃ)」とも呼ばれます。釜炒り茶は釜香と言われる独特の香りを持つのが特徴です。

日本で作られているお茶は、ほとんどが不発酵茶である「緑茶」です。
日本では紅茶や烏龍茶はわずかしか生産されていません。
※世界で最も多く生産されているのは紅茶です。日本ではあまり作られていないだけということ。

煎茶の作り方について説明します。

茶摘み → 蒸熱(じょうねつ) → 粗揉(そじゅう) → 揉捻(じゅうねん) → 中揉(ちゅうじゅう) → 精揉(せいじゅう) → 乾燥 

専門用語で難しいのですが、簡単に説明すると…

蒸し機(もしくは釜)で熱を加えて発酵を止める
      ↓
いろいろな揉み方でお茶の成分が出やすくなるようにする
      ↓
最後に乾燥させて保存がきくようにする

って感じです。

※それぞれの製茶方法についてはまた詳しく説明します。

半発酵茶と発酵茶

お茶の葉の成分をあえて変化させて作ったお茶が発酵茶です。
発酵茶は、摘み採った葉を蒸したり炒ったりせず、まずは放置して萎(しお)れさせ、葉に含まれる酸化酵素を働かせて作ります。この萎れさせる作業を萎凋(いちょう)と言います。
萎凋することによって葉に含まれる様々な成分が変化し、独特の香りがでてきます。

萎凋がある程度進んだ葉を釜炒りして、発酵を途中で止めたものが半発酵茶です。
半発酵茶の代表的なものは烏龍茶です。

烏龍茶の作り方です。  ※ 詳しくは別で説明します。

日干萎凋(にっかんいちょう) → 室内萎凋 → 炒り葉 → 回軟(かいなん) → 揉捻 → 乾燥

酸化酵素を最大限に働かせたものが紅茶です。
日本ではあまり作られていませんが、世界で最も多く生産されているお茶は紅茶です。

紅茶の作り方です。

萎凋 → 揉捻 → 玉解き・篩い分け → 発酵 → 乾燥 → 仕上げ

  紅茶については詳しくはこちらをどうぞ → https://singucha.com/how-to-make-black-tea/

後発酵茶

後発酵茶とは、加熱して酵素の働きを止めた後に微生物によって発酵させた茶です。
本来の「発酵」の意味での発酵です。黒い色と独特の香りを持ちます。
高知県碁石茶や徳島県阿波晩茶、中国のプーアル茶などが後発酵茶です。

阿波晩茶の作り方です。  ※ 詳しくは別で説明します。

ゆでる → 揉捻 → 漬込み → 桶出し → 天日乾燥

まとめ

少し前に「緑茶も紅茶も烏龍茶も、全て同じお茶の木から作られてます」っていうキャッチコピーを見たことがありました。図を見てもわかるように、確かに同じ茶の木から、緑茶や烏龍茶、紅茶をつくることができるんです。
ただし、お茶にも品種というものがあり、緑茶に合う品種は〇〇で、紅茶には〇〇の品種が合うよ っていうのがあるので、まったく同じ木から作った場合「おいしい」かどうかは別のお話しになりますが…苦笑


お茶の種類は、摘み採ったお茶の葉をどうやって加工していくかによって、最終的に何のお茶になるかが決まるってことなんです。

少し専門用語もありましたが、お茶はまず大きく4種類に分かれ、そこからさらに枝分かれしていることが分かりました。「緑茶」というカテゴリーの中に蒸し製と釜炒り製があって、さらに煎茶や玉露、碾茶やほうじ茶に分かれていきます。「緑茶」っていうのは大きなくくりで、いわゆる「総称」ということです。

日本茶ってどんな種類があるの?って聞かれると、一般的に言えば、緑茶のカテゴリーの中にある、煎茶や玉露、抹茶やほうじ茶、玄米茶というのが、馴染みのある答えかなと思います。

少しマメ知識にも触れながら、日本茶の種類について説明してきましたが、
これを機に一人でも多くの方がお茶に興味を持ってくれるとうれしいです。

製造の話や紹介しきれなかったお茶については、また別で説明していきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば幸いです。

  煎茶についてはこちらをどうぞ → https://singucha.com/sencha-qa/

  やぶきたについてはこちらをどうぞ → https://singucha.com/brand-yabukita/

  紅茶についてはこちらをどうぞ → https://singucha.com/how-to-make-black-tea/