孤高の日本茶インストラクター、大西です。
お茶は体に良いって聞くけど
どんな効果効能があるの?
そんな疑問にお答えします。
お茶には様々な効果効能があります。
今日はその薬効のひとつ「お茶の抗酸化作用」について解説します。
お茶を飲むことの化学的なメリットについて学んでみましょう。
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お茶は仙薬
お茶の歴史は古く、発祥の地中国では紀元前から、日本では約1200年も前から仙薬として飲まれています。
1211年、栄西(ようさい)禅師が書いた『喫茶養生記(きっさようじょうき)』という書物の中に
「茶は養生の仙薬なり、延齢の妙術なり。山谷これを生ずれば、その地、神霊なり。人倫これを採れば、その人長命なり。種々の葉は各々一種の病の薬なり、茶はよく万病の薬となる」と書かれています。
また『本草綱目』という文献では、「茶は苦く、寒なり、久しく食すれば人をして痩せし。また人の脂を去り、人を眠らざらしむ。」と書かれていて、その具体的な効果効能が記されています。
これらの文献を見てみても、昔からお茶には薬効としての効果があることが分かります。
カフェインとカテキン
なぜお茶が仙薬として伝えられてきたのでしょう?
それは、他の植物にはあまり存在しないカフェインとカテキンが含まれていることが挙げられます。
特にカフェインの薬効(中枢神経興奮作用、利尿作用)は速く、効果がすぐに得られたからと考えられています。
カテキンについては、その効果が明らかになってきたのは1980年代の初頭です。
強い抗酸化作用や抗突然変異作用の発見があってからでした。
その後、数多くの研究や発見があり、様々な茶の効果効能が明らかにされてますが、これらの研究結果のほとんどは、試験管内での反応、あるいは培養細胞やラット、マウスなどの小動物を用いた基礎研究によるもので、抗がん作用についても、人への臨床試験は始まったばかりです。
とはいえ、カテキンの人への保健効果は実験的あるいは疫学的に確認されつつあり、しかもその効能効果は多方面にわたっています。
酸化ストレスのメカニズム
活性酸素は、人の生存にとって必要なシステムとして備わっています。
生体内でできる活性酸素はもともと、呼気中の酸素に由来し、体内の調節機能を果たしています。
例えば、体内に入ってきた遺物(病原微生物)の排除、不要な細胞の処理、細胞情報伝達などの際に、必要な部位で必要な量が作られます。しかし、過剰な活性酸素が生みだされると酸化ストレスが発生します。
酸化ストレスは、酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用のことをいいます。
がんやメタボリックシンドロームなどの様々な疾病の誘因となったり、老化を促進したりすることが知られています。
生体組織やその機能を保守している細胞膜上のリン酸脂質、たんぱく質(酵素)、糖質の傷害、血管傷害あるいは遺伝子DNAに酸化的な傷害を与え、その結果として、動脈硬化、心筋梗塞、糖尿病、がんなどの発症を高めると考えられています。
呼吸で発生する活性酸素、血管内皮で発生する活性窒素、物理化学的ストレス(喫煙、ダイオキシンなど)、精神的ストレスなどは酸化ストレスを増大させます。
抗酸化作用とは
酸化を抑えることを抗酸化作用といいます。
茶葉に含まれるカテキンなどのポリフェノールとアスコルビン酸(ビタミンC)は、生体内で水溶性抗酸化剤として働きます。このほか熱湯では抽出されない成分として、ビタミンEがあり、茶殻を食べる場合、抗酸化性成分として摂取できます。 茶葉を全部摂取できる(ビタミンC、E)抹茶が体に良いのはこのためです。
茶葉には、抗酸化性ビタミン(ビタミンC,Eなど)のほか、カテキンが大量に含まれ、それらはいずれも極めて強い抗酸化活性を示します。
カテキンの重合物で、紅茶に見出されるテアフラビンやテアルビジンなども強い抗酸化活性を示します。
お茶の成分EGCg(エピガロカテキンガレート)やTFg-A(テアフラビンガレート‐A)の抗酸化活性は、食品添加物などより強く、また、豚の血液から作ったLDL(低密度リポタンパク質)を使用して、その銅イオンによる酸化に対するカテキンの添加効果を調べた場合も、ビタミンEや食品添加物に比べて高かったという実験結果もあります。
最近では、天然に存在するフラボノイド類について、その抗酸化活性をトロロックス(ビタミンEの水溶性誘導体)と比較し、カテキンが他のフラボノイド類に比べ高い抗酸化性能がある事が明らかになりました。
そしてこれらの抗酸化性能は動物での実験でも証明されています。
(緑茶カテキンといわれるEG,EC,EGC,EGCgの4種混合物を0.5%、1%含有する飼料を18か月間ラットに与え、その脂質代謝に及ぼす影響を検討したところ、カテキン1%含有飼料投与ラットの血液で、最大25%の TBARS(チオバルビツール酸反応性物質)の上昇抑制効果が見られ、血中総コレステロール値においても、約30%低い値が得られている。この際、血中総コレステロール値とTBARS値との間には高い相関性が認められる。)
緑茶カテキンは試験管内だけでなく、ラットの体内においても抗酸化的に働き、血中脂質の過酸化を防ぐのみならず、血中コレステロールの上昇を強く抑制することが分かりました。
ラット体内におけるこのような抗酸化効果は、ラットに茶葉粉末をエサに混合して与えた実験でもすでに明らかになっています。
緑茶カテキンを食品に添加することにより、食品の品質の劣化を防ぎ、体内で作られる活性酸素あるいは過酸化脂質の生成を妨げて、細胞レベルでの酸化を防ぐことができるのではないかと考えられています。
まとめ
いかがでしたか。
お茶には様々な効果効能がありますが、中でも抗酸化作用は健康を維持するのに大きな役割を果たしています。
化学の言葉は難しく、少しわかりにくかったかもしれませんが、お茶が昔から飲まれている理由の1つに「薬効」があるのは間違いありません。
まだまだ解明されてないお茶の効果効能はたくさんあります。
これからの研究成果を期待して、お茶を美味しく飲みつつ、健康で過ごしていきたいですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が少しでもあなたのお役に立てば幸いです。
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